ドッグフードの賢い選びかた

ドッグフード 選び方

 第1章、2章とドッグフード及び、ドッグフードを作っているペットフードメーカーの実態について説明させてもらいましたが、結局のところあなたの一番の関心は、「どこのメーカーの、どのドッグフードを買ったら安心なの?」ということではないかと思います。ただ、残念ながら私はその質問に答えを用意していません。
 私はドッグフード研究所を設立するにあたって、ドッグフードに関する膨大な資料を分析し、ペットフードメーカーに質問を行いました。その過程で得た知識をもとに、今市販されているドッグフードの中でベストだと思えるメーカー、製品を選んであなたにおすすめすることもできます。しかし、それはしません。

 理由はまず第1に、私がベストだと思っているドッグフードでも、あなたのワンちゃんにとってそれがベストとは限らないからです。また、私が選んでしまうと、あなたはきっとあなたのワンちゃんに合ったドッグフードを探すことを止めてしまうでしょう。仮に私が選んだドッグフードの原材料が、たまたまあなたのワンちゃんに合わなかったときはどうしますか?その時になって初めて自分で調べようと思いますか?…

 ドッグフードはあなたの大切なワンちゃんが毎日食べるものです。あたなの選択がワンちゃんの健康を大きく左右します。私たちが日常的に食べるものを選択しているように、ワンちゃんの食事も選択してあげてください。どうか安易に答えを求めず、自分で最良のドッグフードを選択できる知識を身につけて欲しいと強く思います。

 それでは、ドッグフード研究所の資料のなかで、最も重要なドッグーフードの『賢い』選び方について説明します。

ドッグフードでシックハウス症候群??
 まずは、製品形態の選択基準についてです。ドッグフードの製品形態は大きく分けて3種類あります。缶詰やレトルトパックに入っているウェットタイプ、ドライタイプとウェットタイプの中間にあたるセミモイストタイプ、現在市販されているドッグフードのなかで一番多いドライタイプ。あなたは、今どのタイプのドッグフードをあげていますか?選択するときに、価格や嗜好性(くいつきが良い等)のみで選択していません?

 ドッグフードのタイプもそれぞれ特徴がありますので、それをきちんと把握した上で選択しましょう。下記にそれぞれのタイプの特徴を書きます。

ウェットタイプ

 缶詰やレトルトパックに入っているものがこれにあたります。全体の約75%程度が水分です。1グラムあたりの栄養価は低いですが、食材の風味が生かされており、嗜好性が高いのが特長です。また、品質保持のために殺菌工程を経て、密封容器に充填します。密封容器には、缶詰、アルミトレーやレトルトパウチ等が使用されます。

セミモイストタイプ

 ウェットタイプとドライタイプの中間にあたる半生のフードです。全体の25%~30%が水分で、押し出し機などで製造され、発泡していないものです。水分保持のために湿潤調整剤を使用します。

ドライタイプ

 製品水分10%程度以下のフードで、加熱発泡処理された固形状のものがほとんどです。水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性を配慮して多くは水分含有量10%以下となっています。 栄養価も高く、保存性も高い事から最も多くのドッグフードで採用されています。

 この中で、まず避けるべきなのがセミモイストタイプです。理由は、ドライフードに比べて水分量が多いため、酸化や腐敗が進みやすく、それをカバーするために合成保存料などの添加物が入っている可能性が非常に高いからです。セミモイストタイプのフードには合成保存料としてホルマリンを使用しているものもあるようです。ホルマリンといえば、ご存じの通り学校の理科室でカエルや魚などの解剖されたものが腐敗しないように漬けておく薬品です。また、ホルマリンの科学名はホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドは家具などに使われている接着剤に含まれており、シックハウス症候群の原因物質として問題視されているものです。

同じドッグフードなのになんでこっちのが安いの?

ドッグフードにも並行輸入品(直輸入品)があります。同じ海外のドッグフードが並行輸入品であれば安く手に入るので、とても魅力的に見えるかもしれませんが、安いというだけで安易に購入することはおすすめできません。

 ドッグフードはそのほとんどが船で輸入されます。正規契約メーカーは一度の輸入量が多いので、コンテナチャーター便を使用して、北の気温が低いルートで輸入されます。しかし、並行輸入品は少量なので混載便(他の荷物と一緒に輸入)となり、ルートによっては赤道直下を通る事もあり、船内温度が外気温以上になって、湿度が60%以上になることもあるそうです。

 このような状況で運ばれてきたドッグフードは間違いなく品質劣化を起こしています。また、平行輸入品は燻蒸(くんじょう)されるものが多く。とても危険です。燻蒸とは、毒性が強い臭化メチルやリン化アルミニウムや青酸ガスを使用して、輸入品に紛れ込んでいる病害虫を駆除する目的で行います。問題なのは、燻蒸は国内の「植物」を病害虫から守るために行われているのであって、決して「人や動物への安全」のためでは無い!という点です。

 また、燻蒸は人間用の生鮮食品にも行われますが、国によって一応規制があります。しかし、ペットフードには規制はないので、どんな薬品をどのような方法で使用しても問題ないのです。正規品は並行輸入品に比べて多少値が張りますが、安全を買うという事を考えれば決して高いものではないと思います。正規品か並行輸入品かの判断がつかなければ、お店の人に必ず確認しましょう。
ドッグフードの良し悪しは、結局のところ原材料によって決まると私は考えています。いくら製造方法や、保存方法、パッケージにこだわったとしても、肝心の原材料が4Dに格付けされるような粗悪なものを使用していたり、大量の添加物を使用しているのであれば、購入するべきではありません。ですから、この原材料を調べることがドッグフードを選ぶうえで一番重要となってきます。

 まずは、お手元にあるドッグフードを見て、以下のポイントでパッケージの表記内容を調べてみてください。
  1. 成分表示がきめ細かく記され、肉副産物・肉骨粉・肉粉を使用していない
  2. コーングルテンとトウモロコシの様に、名前が違う同じ種類の材料を上位に表示していない
  3. 鶏肉や大豆やトウモロコシを主原料として使用していない
  4. 穀類として「粉」や「ミール」ではなく、全粒穀類を含んでいる
  5. BHA、BHT、エトキシキ、アフラキトシン等の酸化防止剤、防腐剤が使用されていない
  6. プロピレングリコール、ホルマリン、トコフェロールの合成保存料が使用されていない
  7. 合成調味料、着色料、香料、防カビ剤などの合成添加物類を使用されていない
  8. 砂糖や合成甘味料が入っていない
  9. 塩化ナトリウムや砂糖を添加していない
  10. 良質な脂質を使用している。できるだけ植物性脂肪が使用されているものが望ましい
  11. ビタミンCが添加されていて、よい意味での酸化防止、品質保持を心がけている
  12. 天然ビタミンEが添加されていて、よい意味での酸化防止、品質保持を心がけている
  13. 賞味期限が明確で、製造日より12ヶ月以内
  14. パッケージが単なる紙袋ではなく、ビニール袋などの内袋と二重になっていて、酸化防止のための窒素が充填されている
  15. AAFCO(Association of American Feed Control Officials, アメリカ飼料検査官協会)の給餌テストにパスしている
  16. 『AAFCOの制定した基準を満たした商品です』『AAFCOの承認する栄養基準を満たしています』のように消費者に誤解を与える表現をしていない

如何でしたでしょうか?もし、01、05、06番にチェックがつかない場合は、そのドッグフードを与える事を即刻中止すべきです。そのドッグフードをそのまま与え続けると、あなたのワンちゃんに悪影響を及ぼす可能性がとても高いです。できれば全ての番号にチェックがつく事が望ましいのですが、なかなかそういったドッグフードは少ないようですので、できるだけチェックの数が多いものを選んであげてください。

 但し、01、05、06番をパスしたものでも安心はできません。第1章でもお話したように、ペットフードメーカーにドッグフードの原材料の全てを表示する義務がない限り、ラベルには記載が無くても実際には添加されているケースもあるからです。なので、添加物が含まれているかどうかに関しては直接メーカーに問い合わせる必要があります。

 問い合わせの方法は簡単です。購入しているドッグフードのパッケージの裏面や側面に、製品に関する問い合わせ先が記載されていますので、その電話番号に直接電話して質問するだけです。

 問い合わせをする時は、以下9つの質問を参考にしてください。但し、あなたからの電話に対応している人もペットフードメーカー側の人間とはいえ、あなたとおなじ人間です。「あなたの所の商品は怪しい!」と頭ごなしに質問を浴びせかけられたら、きっといい気はしません。本当にワンちゃんの事を考えているペットフードメーカーも存在しますので、質問する時は、確認する気持ちで丁寧に聞いてください。

 対応してくれる人によって変わってくる事も多いので一概にはいえませんが、下記のような質問をすると、メーカーの本質が垣間見えます。なるべく問題に発展しないように曖昧な回答しかしない。とか、自社の製品に絶対の自信を持っている。といった風に、担当者が自分たちの製品に関して、どうのように考えているのかも感じられるので、得られるものはきっと多いと思います。

問い合わせをする時のポイントは下記の9つです。
  1. 酸化防止剤、防腐剤、合成保存料を使用していますか?
  2. 酸化防止剤、防腐剤、合成保存料を使用しているのであれば、なにが入っていますか?
  3. 合成調味料、着色料、香料、防カビ剤などの合成添加物類を使用していますか?
  4. 合成調味料、着色料、香料、防カビ剤などの合成添加物類を使用しているのであれば、なにが入っていますか?
  5. 原材料の仕入れ先で上記添加物(酸化防止剤、防腐剤、合成保存料、合成添加物類)を使用していますか?
  6. 原材料の仕入れ先で上記添加物(酸化防止剤、防腐剤、合成保存料、合成添加物類)を使用しているのであれば、なにが入っていますか?
  7. 原材料に4Dと呼ばれるものを使っていますか?
  8. ※Dead(死んだ動物の肉)・Dying(死にかけていた動物の肉)・Disabled(身体の一部に障害のある動物の肉)・Diseased(病気の動物の肉)
  9. 原材料は人間が食べても問題ないですか?
  10. このドッグフードは人間が口にしても問題ないですか?

 5番、6番の仕入れ先に関する質問は重要です。仮にドッグフードメーカーの製造過程では保存料・添加物を使用していなくてもドッグフードの仕入先の原材料に既に使用されている可能性があるからです。

 如何でしたでしょうか?ラベル表記とメーカーに問い合わせるだけでも多くの事が分かったと思います。

やっぱり手作りがイチバン

私は、ここまでドッグフードの危険性に関して説明しました。正直なところワンちゃんが毎日食べる食事は、手作りが一番だと思っています。例え手作りが無理だとしても、家庭の食卓の残り物でもいいと考えています。

 

 このように書くと、「人間用に味付けされた食べ物は味が濃い(塩分の過剰摂取)ので、ワンちゃんの健康にあまり良くないのでは?」といった意見が聞こえてきそうです。仰るとおり、人間の食事はワンちゃんにとっては味付けが濃く、塩分も過剰に摂取してしまいます。本来あればワンちゃんの食事に適してはいません。

 

 しかし、前章で登場しました私が一緒に暮らしていたゴンは、その食事のほとんどが食卓の残り物でしたが12歳まで特に大きな病気にかかることなく生きる事ができました。また、『本物の獣医・ニセ物の獣医 いいペット病院の見分け方』にはワンちゃんは塩分取りすぎたと感じたら、水分を補給して、体内の塩分濃度を調整する機能があるとの記載があります。うちのゴンはきっとこうやって塩分調整を行っていたんだと思います。

 

 なので、食卓の残り物が絶対にいいとはおすすめできませんが粗悪なドッグフードを与えるぐらいなら、食卓の残り物のほうが数倍ワンちゃんの健康に良いと思います。

 

 但し、チョコレートや玉葱のように人間が食べても問題ないものでも、ワンちゃんにとっては毒となるものもありますので注意が必要です。「イヌがよろこぶ手作り健康長寿メニュー入門」や「犬がよろこぶ手作りおやつ50のレシピ」など、手作りフードに関する本も何冊か出ていますので、こちらを参考にしてみることをおすすめします。

 

 ただ、手作りフードは栄養バランスがとても難しいです。例えば生肉のカルシウム/リン比率は1対15ですが、健康のためには1対1と1対2の間の比率に修正してあげる工夫が必要です。これは1例ですが、手作りの良さを引き出すためには、多少なりとも手作りフードについて勉強し、飼い主の自己満足に終わらないように作ってあげるようにしましょう。

 

 しかし、手作りの食事を作ってあげる時間がなかったり、食卓からあまり残り物がでないといった家庭もあると思います。そんな方は、ここに書いてある方法で、あなたのワンちゃんにあった最良のドッグフードの選んであげてください。